「太陽」という作品を機に“光”と正面から向き合うことになりました。

野口里佳 Photographer

「光 松本陽子/野口里佳」展 国立新美術館2004年の原美術館での個展「飛ぶ夢を見た」以来5年ぶりの、大規模な展覧会。ここ10年ほどのおもだった連作を網羅して約100点を展示。

今、一番愛情があるのは新作

ー今回の展覧会は、「フジヤマ」、「飛ぶ夢を見た」など、野口さんの代表作もあり、かつ新作もあるという点で、とても貴重な機会だと思います。テーマは“光”ですが、構成や作品のセレクトはどのようにされたんでしょうか?

お話をいただいたときに最初に思ったのは、回顧展ではない展覧会にしたい、ということでした。まだ回顧展をやるには早過ぎると思ったので、ちゃんと次に繋がるものにしようと。そのために、できる限り新作をつくろうと思いました。
展覧会の構成としては、まず、2004年に原美術館で開催した個展「飛ぶ夢を見た」以降の作品をきちんと見せることを考えました。それから、2004年以前に遡った中から、“光”に関係している作品を選んでいき、それに新作を加えていきました。

ー今年は、オスロとニュー・ヨークでも展覧会があり、制作も大変だったと思いますが、新作はいつからつくり始めたんですか?

今年に入ってからです。宇宙を撮った「飛ぶ夢を見た2」と窓にとまる虫を撮った「虫と光」、7月に撮影した「皆既日食」、それからビデオ作品の「星」。ぎりぎりまでつくっていたので、展覧会のカタログ制作と作品の制作が、ずっと並行しているような状態でした。

ーでは今回の見どころは、やはり新作でしょうか。

今、自分にとって一番愛情があるのはやはり新作なので、新作を見てもらいたいです。

ー新作はお住まいのあるベルリンで?

はい。でも、宇宙で制作したものもあります(笑)。

太陽そのものの色は?と考えた

ー宇宙といえば、新作の「飛ぶ夢を見た2」は、まさに宇宙空間に浮かぶ星団のようでした。前作の「飛ぶ夢を見た」は、青空に打ち上げられたロケットの作品でしたが、「飛ぶ夢を見た2」は、そのロケットが宇宙空間へたどり着き、窓越しから眺めた景色のように感じました。「飛ぶ夢を見た2」は、「飛ぶ夢を見た」の続きをつくろうと考えて、制作されたんですか?

いえ。「飛ぶ夢を見た2」の最初の入口は、太陽の光を、そのままフィルムに焼きつけてみようというところから始まった「太陽」という作品でした。「太陽」の続きをつくろうと思っているうちに、空にかかる“虹(rainbow)”のことを考えるようになったんです。そして、“虹”のことをずっと考えているうちに、宇宙空間で見られる“星虹(starbow)”へと思いがめぐり、「飛ぶ夢を見た2」という作品になっていきました。

ー虹は、太陽の光を雨が反射してできるもの、宇宙の虹は、光の交差によって見られるものと、作品の流れに“光”が関係しているようですが、野口さんの作品づくりの根底には、やはり“光”があるんでしょうか?

写真で作品をつくっている以上、もちろん、作品は常に光と関係していると思うんですけれども、根底にあったというよりは、最近になってモチーフやテーマになってきました。
先ほどお話した「太陽」という作品の制作を機に、“光”と真正面から向き合うことになりました。ちょうどそのタイミングで、学芸員の方から、今回のお話をいただいたので、自分が進もうとしていた方向と展覧会のテーマがピタッと合って、新作にも進んでいったという感じですね。

ーでは、野口さんが“光”に向き合うきっかけでもあり、また「飛ぶ夢を見た2」の入口にもなった「太陽」というシリーズの入口は?

「太陽」というシリーズは、DIC株式会社から、「色についての本の展覧会をやりたい」というお話をいただいたのがきっかけです。すでに太陽の写真は撮り始めていたのですが、“色”について考えて行くうちに、様々な色の源は太陽なので、じゃあ“太陽そのものの色”を撮ることができないかと思って、作品をまとめ始めたんです。

ー“色”から「太陽」、「太陽」から“虹”、“虹”から「飛ぶ夢を見た2」という流れで作品がつくられていったんですね。ちなみに、太陽の色についての本は、いつ頃完成するんですか?

今年の10月です。10月末に静岡に新しくできる「イズ・フォト・ミュージアム」のオープニングに合わせて出版する予定です。

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Profile プロフィール

野口里佳
Noguchi Rika
Photographer

1971年埼玉生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業、同大学院中退。1992年より写真による作品制作を始める。《フジヤマ》(1997−)などの完成度の高い連作により、早くから注目を集めた。主な個展に、「予感」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(2001年)、「飛ぶ夢を見た」原美術館(2004年)、「Somebodies」アイコン・ギャラリー(バーミンガム、2004年)、グループ展に「Life on Mars/第55回カーネギー・インターナショナル」カーネギー美術館(ピッツバーグ、2008年)などがある。ベルリン在住。

Item アイテム

「光 松本陽子/野口里佳」展カタログ

国立新美術館
2,000円(税込)
http://www.nact.jp/

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