ヒントとヒントが繋がって、あるとき、ふっと新作づくりが始まるんです。

野口里佳 Photographer

撮ることが、旅だとしたら
暗室作業も展示もまた
旅をするような感じ

ー野口さんの作品は、どこかの星からきた生命体が地球をフィールドワークしているような、または自然科学者の調査や実験のような印象を受けることがあります。

特に意識はしていないんですが、そう言われたら、なんとなく調査しているような気分でいるときはありますね。作品は実験ですし(笑)。

ー作品の制作は、どういう過程を経て始まるんですか?

いろいろな入口があるんです。何かに出会って惹かれていくこともありますし、ある言葉にひっかかってそこからスタートしていくこともあります。一番大きいのは人との出会いですね。誰かと出会って自分の知らない世界のことを聞いて、そこから想像が広がって新しい方角に進んでいくことが多いです。

ー「太陽」はピンホールカメラで、与那国島の海底に潜って撮影した「星の色」は水中カメラでと、作品によって使うカメラも変えてらっしゃいますね?

私にとってカメラはとても大切で、「このカメラで、さて、何ができるか?」と考えてスタートすることも多いです。

ー追い続けているテーマは、今いくつくらいありますか?

テーマと呼べるような、はっきり形になっているものは、そんなにないんです。ただ、ヒントみたいなものは、常に頭の中にいっぱいあって、そのヒントとヒントが繋がっていくと、あるときふっと新作が始まっていくという感じですね。

ー点と点が結びついて線になりという感じですか?

まさにそうですね。点と点が結びついて、新しい旅が始まって行くという感じです。
それから、普段、私にとって写真を撮ることが1つの旅だとしたら、暗室作業もまた1つ旅をするような感じなんです。さらに、今回は作品数が多かったこともあり、展示作業でも、もう一回、自分の作品の中を旅しているような感覚がありました。

ー自分の作品の中を旅するというのは、どういうことですか?

今回一番古い作品が97年から始めた「フジヤマ」なんですが、時が経つと自分の中でも作品に対する解釈が変わるんです。作品の中に、以前は気付かなかった要素を見つけたり、その要素が、実は別の作品に結びついていることに気づいたり、まるで新しい旅をしたみたいで、楽しかったです。

ー自分が何年も前に撮った作品であれ、もう一度プリントを焼く時や展示する時は、その都度新鮮な気持ちなんでしょうか?

タイミングによると思います。今回は、今の自分の中の大きなテーマに関係する作品を選んだので、プリントや展示のときにも新しい発見があったんだと思います。

気がついたら新しい地点に

ー今回のように依頼を受けてつくり始めた作品と、そうではなくご自身の中から生まれていく作品とでは、何か違うものでしょうか。

自分で積み重ねていくものと、向こうからやってくるものとは、始まり方はちょっと違いますよね。でも、今回の「光」というテーマは、自分が進もうと思っている方角とピタッと合っていたので、いつかたどり着いていた作品だと思います。展覧会のお話は、私にスピードを与えてくれた、という感じです。

次の作品に臨むときは、いつも、今までのことは全部なしにして、新しい方向へ行きたいと思うんですけど、自分で積み重ねていくものだけだと、新しい場所へ行ったつもりが、実はそうじゃなかったり、いつの間にか過去のものと関係ができてきたりするんですよね。だから向こうからやってくるものに乗って、新しい場所にたどり着くことも、時には必要です。作品を自分の中で1本の木のように育てるんじゃなくて、もっといろんな方向にジャンプしていくように制作できればいいなと思っています。

ー今回の展覧会のお話がきたことで、ジャンプして行けそうな新しい場所が見つかりましたか?

この半年は本当に大変だったんですけれども(笑)、今回、最後まで新作をつくったことによって、駆け抜けたという感じがあります。気がついたら新しい地点に立てているんじゃないか、と。そういう意味で、今回は、とても幸せな展覧会でした。いいタイミングでいい展覧会に出合えたと思っています。

ー次の制作へのエネルギーも、充電されましたか?

そうですね。もう次にいかなきゃ、と思っています。 今、ちょっと変わったカメラを手に入れたので、何ができるか考えているところです。

ーどんなカメラですか?

それは、まだ秘密です(笑)。

ーいつ、私たちは知ることができるんでしょう。

「イズ・フォト・ミュージアム」で、2011年に展覧会をすることになっているので、そこで新作を発表できるといいな、と思っています。

ー楽しみにしています!

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Profile プロフィール

野口里佳
Noguchi Rika
Photographer

1971年埼玉生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業、同大学院中退。1992年より写真による作品制作を始める。《フジヤマ》(1997−)などの完成度の高い連作により、早くから注目を集めた。主な個展に、「予感」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(2001年)、「飛ぶ夢を見た」原美術館(2004年)、「Somebodies」アイコン・ギャラリー(バーミンガム、2004年)、グループ展に「Life on Mars/第55回カーネギー・インターナショナル」カーネギー美術館(ピッツバーグ、2008年)などがある。ベルリン在住。

Item アイテム

砂漠で
In the Desert

2008 マッチアンドカンパニー
2,100円(税込)
http://bookshop-m.com/

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